TMSNCUのブログ

「複眼的に安保法制を考える名市大院生有志の会」のブログです。

第6回学習会「安全保障問題と有権者意識」報告

6月5日に行いました第6回学習会の報告です。

 

■なぜ、いま「選挙」を知る必要があるのか

7月10日に、安保関連法採決以来の国政選挙である参議院選挙が行われます。

安倍首相は今回の選挙を、政権の「信を問う」選挙と位置づけました。

また、18歳選挙権の導入で、新たに有権者が約240万人増加します。

今回の選挙はいろいろな点から、今後の日本社会の分岐点となり得る選挙とも

考えられるのではないでしょうか。

しかしながら、私たちは「選挙」の実像や投票行動についての知識は

ほとんど持ち合わせていないと言えます。

日本のこれからを左右するであろう選挙を前に、

知の衣さえまとわずに佇んでいるという現状に危機感を感じ、

現代日本における選挙と政治過程の実証分析をご専門としていらっしゃる

愛知学院大学総合政策学部教授森正先生をお招きし

『安全保障問題と有権者意識』のタイトルでお話していただきました。

 

■学習会のポイント

 

まず、学習会では「政策」を考えるために必要な三つの視点が提示されました。

第一 私たちにとっての理想の政治は何かを考察する

第ニ 現状の政治について客観的に分析をする 

第三 理想と現状のギャップを埋めるための手段(政策)を考える

選挙や投票行動の研究は、このうち第二の現状分析にあたります。

 

政治家は何を訴え、有権者は1票に何を託したのか――もし、当選した

政治家が自分に託された票の意味を恣意的に解釈すると、

有権者の1票は雲散霧消してしまう、

だからこそ「データに基づく客観的な分析」が必要であるとのことです。

選挙・投票行動研究は現在の政治の是非や運動論そのものとは一線を画します。

しかし、現状を分析することによってのみ、スタートラインが明確になり、

ゴールへの正しい道すじが求められる、との指摘がありました。

つづいて、以下に学習会中、最も時間をかけて説明がなされ、また出席者の関心も高かった投票行動の決定要因について記します。

 

投票行動の決定要因には、大きく性別や年齢などの

「社会的属性」、「政党支持」、「争点態度」、「業績評価」などの

要因があります。

このうち、最も規定力が強いのは政党支持要因ですが、

政党支持とは異なる政党に投票する逸脱投票の存在や政党支持なし層の

動向いかんによっては、選挙結果が大きく変動します。

こうした変動をもたらすのが選挙における選挙における争点や

首相・政権に対する業績評価です。

 争点が投票行動に影響を与える争点態度投票の条件としては、

一般に以下の3つが挙げられています。

(1)争点の重要性:有権者の関心の有無

(2)争点の質:政策の違い・対立軸の有無

(3)有権者の意見分布

さまざまな争点のうち、ここでは争点を「生活争点 ⇔ 社会争点」、

「対立争点 ⇔ 合意争点」という軸で分類してみます(下図参照)。

有権者にとって関心が高いのは、景気や社会保障といった生活に身近な争点。

逆に安保問題、憲法問題などは社会争点と呼ばれ、過去の選挙でも

有権者の関心はあまり高くなかった、ということです(空間C)。

いっぽう、政党間であまり違いが生じない争点を合意争点と呼びます。

景気対策社会保障などは、どの党も「充実させる」という方向性が同じなので、

関心は高くても投票行動の決め手にはなりにくい(象限B)。

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つまり、有権者投票行動に大きく影響するのは、

有権者の関心が高い生活争点かつ政党間で意見の異なる対立争点(象限A)

ということになります。

関心の高い生活争点についてどのように対立軸を演出していくか、

対立は明確であってもこれまであまり関心が高くない社会争点について

どのように有権者の関心を引き出すか、が投票行動に決定的な

意味を持つということです。

裏を返せば象限Aに争点を設定できれば、有権者の1票が動く可能性が

あるということになります。

選挙戦で主導権を握るためには、まさに争点をどう設定するか、

アピールするかが重要なのです。

(過去の選挙における象限Aの例:2015年「郵政民営化」、

 1989年「消費税廃止」など)

上記の整理に沿って、先生が示された今現在の2016年参院選における争点の配置は

下図の通り。

最も有権者に働きかける力を持つ象限Aの空間が空白であるということです。

安保問題、憲法問題は象限C、景気対策や消費増税先送りは象限Bになります。

象限Aのゾーンに入る争点が設定されなければ、有権者投票行動

最も大きく影響するのは「政党支持」です。

つまり、投票行動に影響を与えうる争点(象限Aの部分)がないときには、

有権者は政党支持に沿った選択をするとのこと。

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次に、これも選挙結果に影響を与える業績評価投票を見てみます。

業績評価投票は、現職・与党に対する評価を表わす投票のことです。

現在は、2010年参議院選挙時に比べ、自民党支持率は高まっています。

また、内閣支持率は、一般に政党支持率に比べて大きく変動するものですが、

安保法制の審議が行われた2015年秋以降、支持率は回復し、

その変動も小さくなり、支持・不支持ともに固定化・2極化が

進んでいると考えられます。

 その他の投票行動に与える要因としては、近年の政治不信の高まりによる

投票率の低下や選挙制度があります。

参議院選挙の選挙制度は、小選挙区(1人区)と中選挙区(2~6人区)、

比例区が混合したもので、与党有利の制度となっています。

こうした一党優位の状況下では、野党による選挙協力

戦略として考えられます。

しかし、各党の政策協定が安保や憲法問題にとどまっていること、

現状では候補者を一本化させたにすぎないことに加え、

選挙後の政治運営の難しさは、これまでにすでに明らかです。

 

■学習会を終えて

データ分析に基づく研究のポイントは、「こうある」と「こうあるべき」との

違いと認識しました。私たち有権者は「政治家にはこうあってほしい」と

思っています。

ですが、政治家は「べき」だけでは動かない。

そう、政治家にとって大切なのは、やはり選挙で当選するかどうか。

選挙に「大義」があるかどうかは問題ではなく、

政治家は、自らの当選に有利なように争点を設定し選挙活動をするのです。

あたかも「大義」があるかのように、争点を設定した時点で選挙活動は始まり、

うまく土俵を築いた方が選挙戦を主導していくのです。

 近年、政党支持なし層の動きが注目されていますが、

有権者の30~40%を占める無党派層のうち20%近くは

政治に全く無関心で、投票に行かない(と思われる)層。

残りの政党支持なし層の人々の投票行動は、投票に影響を与えうる

明確な争点がない場合、選挙の勢いを強めることはあっても、

選挙を動かす(「山が動く」ような)ものにはなりづらいとのことです。

同様にメディアの報道体制が選挙結果を左右すると考えられがちですが、

これも投票行動の勢いを強めることはあっても、結果を変えるものでは

ないとのこと。

では、どのような時に「山が動く」ような選挙が起きるのか。

自分が支持する政党以外へ投票することを「逸脱投票」と呼ぶそうですが、

この逸脱投票がどれだけあるかがポイントとなりそうです。

逸脱投票は選挙の争点が有権者の関心と合致しながら、

政党間に違いがある場合におきます。「山が動く」選挙は、

日常に近く政党間の違いがはっきりとわかる争点の選挙で、

より有権者の支持が多い政策を掲げることに成功した政党が登場した時に

起きるのだと理解しました。

 1990年代から政治不信が高まり、民主党政権を経て、

今また政治不信が深化していると感じられます。

政治家と有権者の関心の乖離が原因でしょうか。

7月の参議院選挙、さらには今後の選挙に向けて私たちに必要なことは…。

 先生は18歳選挙権、それが選挙結果そのものを大きく変えることは

ないだろうとおっしゃいました。

ただし、「18歳選挙権」をきっかけに、子どもたちへの「主権者教育」が

進んでいくのなら、今後の選挙はゆっくりとではありながらも

大きく変化する可能性があるだろうともおっしゃいました。

翻って、私たち大人はこれまでどうであったのか?

「主権者」として選挙を考え争点を示し投票に結びつけてきたのか。

選挙を投票日だけ、あるいは、議会の中のものだけとしてきたのではないのか。

自分たちが関わる日常を「政治」とつなげて考えていくことが大切であり、

有権者の責任でもあると強く感じた学習会となりました。

 

 森正先生には、お忙しい中講師を引き受けて下さりありがとうございました。

大変有意義な学習会となりましたこと、感謝申し上げます。

ありがとうございました。

 

学習会「安全保障問題と有権者意識」は来週5日です!

TMSNCU第6回学習会の会場が決まりました!

名古屋市立大学滝子キャンパス1号館の202教室です。

今回学習会で取り上げるのは、選挙。

「安全保障問題と有権者意識」をテーマに

2016年6月5日(日)10時〜12時に

愛知学院大学の森正先生をお招きして行います。

 

一人の有権者が、ある一人の候補者に票を入れる。

この投票行動は一体どのような過程を経て行われるのか。

個人の行動が、どのように集積したときに民意となるのか

また当選者には、果たして民意が反映されているのか。

 

そういったことを学び、そして議論します。

お菓子をつまみながらの気楽な会です。

是非お越しください。

私たちの学習会場の隣の教室203では

同日午後13時30分から第9条の会主催の

講演会が予定されています。

反骨のジャーナリスト山口正紀さん講演会だそうです。

5日の午前は選挙を、そして午後からは報道を学ぶ。

そんな日曜日、ハードだけど充実!

ご参加をお待ちしています。

参加ご希望の方は、レジュメの準備上ご予約を、お願いします。

tmsncu@gmail.com まで。

名古屋市立大学滝子キャンパスは

地下鉄桜通線の桜山駅5番出口から徒歩7分です。 

 

 

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第6回学習会は「選挙」がテーマです。

第6回学習会のご案内です。

 

これまでの選挙で有権者が選んできたものとは何か。

選挙は民意を反映しているのか。

 

今の政治を見ていると、そんなことすら

わからなくなります(涙)

 

有権者の意識はどう作られ、

選挙行動にどうつながっていくのか

 

これらを知ることは、

7月の参院選に向けて

重要なことだと思います。

 

講師は、現代日本における選挙と政治過程の

実証分析がご専門の森先生(愛知学院大学教授)です。

テレビ等の選挙解説でもご活躍されている

「選挙」の第一人者から直接そして身近にお伺いできるチャンス!

 

ぜひぜひご参加ください。

 

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・・・・・・・

日にち:2016年6月5日(日)

時間 :10時~12時

講師 :森正先生(愛知学院大学教授)

参加費:500円(講師費・資料コピー代)

会場 :名古屋市立大学滝子キャンパス1号館

申込み:学内外を問わずどなたでもご参加いただけます。

    参加ご希望の方は事前にメールにてご予約お願いします。

    tmsncu@gmail.com  ←クリック

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憲法施行69周年市民のつどい「立憲・民主・平和と憲法」報告

 2016年5月3日憲法記念日に名古屋市公会堂で、「立憲・民主・平和と憲法」と題し、憲法施行69周年市民のつどいが行われました。この「市民のつどい」は、毎年憲法記念日に開催されているものです。公会堂のある鶴舞駅周辺は、開場を待つ参加者たち、耳をつんざくような大音量で参加者たちを威嚇?説得?しようとする街宣車、そして大勢の警察官で溢れていました。

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(開場を待つ人の列)

 

 今回は、オープニングに合唱(組曲「砂川」)があり、続いて第1部として学習院大学教授の青井未帆先生(専門・憲法学)のご講演、第2部にナターシャ・グジーさん(ウクライナで6才の時に被爆した歌手)のコンサートという構成でした。

 

 

 青井先生は「今、何が問われているか~立憲主義・平和主義から考える~」をテーマに約1時間、憲法を丁寧にそして誠実に分析し、そこから導きだされる現在の状況、その問題点、それに対して私たちがやるべきことを話されました。以下、幾つか心に残ったことを挙げます。

1)現在の状況

・日本は、「戦わない国」から「戦える国」になった。

 これは戦後経験のない程の大きな変化である。

2)憲法

 ・憲法とは、どういう国を目指すのかを示したもの。

 ・9条は安全保障や政策の仕組みを示すものだが、広く日本社会のあり方を

  示すものである。

 3)安保関連法と改憲

 ・改憲は今まで平和主義を掲げてきた日本のあり方を変える。

 ・「戦わない」と高らかに謳った9条のもと、自衛が許容される根拠は

  13条の国民の生命・自由・幸福追求の権利」であった。

  つまり外国の武力攻撃によって「国民の生命・自由・幸福追求の権利」

  が脅かされることが起こった場合、これらの権利を守るために

  必要最小限度の「武力の行使」は許容されるというものであったはず。

  しかし集団的自衛権の行使容認で「国民の生命・自由・幸福追求」の

  ために他国を守るということになり、説明がつかない。

 ・与党が目指す「憲法改正」の意味を見極めなければならない。

  改憲案は、明らかに人権が狭められている。

 4)今、そしてこれから

 ・私たちがやるべきことは長期的には立憲主義の立て直し、

  そして短期的には選挙!

 ・国民として政治に責任を持つ。

 

 内容や用語が門外漢である自分にはやや難しく、話についていくのが

大変でした。レジュメがあれば理解が進んだと思うけど、

会場は、事務局発表で2,496人!。全員分用意するのは無理ですよね。

 

 青井先生の語り口は落ち着いて静かながらも、ここで私たちが立憲主義

立て直さなければならない、という強い意志が見えるもので

「私たちも政治に責任を持つ」ことの重要性を改めて認識させて

くれるものでした。

 

 第2部は、ナターシャ・グジーさんのコンサート。どこまで高音がでるの?

というくらい音域が広く情緒的で、耳ではなく心に響くような歌声でした。

歌の合間の語りも被爆の当事者だからこそ語れる深く重みのあるものでした。

 

「市民のつどい」の後は、鶴舞から矢場町までのデモに参加しました。

両脇をすごい数の警察官に守られながら?のデモ。

 

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デモの長い列が通り過ぎるまで、車は足止め。何だかすみません。

大須を通る時には買い物に来ていたワカモノや外国人にスマホ

激写されて、ビミョーな気分。

デモ参加者の平均年齢はやや高く(失礼!)シュプレヒコール

ちょっと長いと(覚えきらず)みんなグズグズ。

今風の掛け合い型にもオロオロ・ワタワタ。

苦笑しながら、でも、元気に鶴舞から矢場町まで歩いて帰ってきました。

 

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(デモに出発したところ)

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複眼的に安保法制を考える名市大院生有志の会第6回学習会

 

7月に行われる参議院選挙を前に「選挙」とは

有権者意識」とは何かを学習します。

講師は、投票行動研究・世論研究の第一人者で

テレビの選挙解説などでもご活躍されている森正先生です。

専門家のお話しを身近に聞くチャンス!

是非、ご参加ください。

 

テーマ:「安全保障問題と有権者意識」

日にち:6月5日(日曜日)

時間:10時~12時

講師:森正先生(愛知学院大学教授)

会場:名古屋市立大学滝子キャンパス1号館

参加費:500円

申込み:学内外を問わずどなたでもご参加いただけます。

参加ご希望の方はメールでご予約ください。

tmsncu@gmail.com

 

 

「日米関係史から安保体制を考える」学習会報告です。

1、「日米同盟」という名の宿痾―「サンフランシスコ体制」再考―

 

 今回は、名市大人間文化研究科准教授でアメリカ政治外交史を専門とする

平田雅己先生のお話でした。

タイトルは『「日米同盟」という名の宿痾』。

「宿痾(しゅくあ)」とは、「持病、長い間治らない病気」(『デジタル

大辞泉』より)のことです。

日本が独立を獲得した、1952年の「サンフランシスコ体制」が生み出した、

その後の日本社会の方向性を、今改めて問い直してみる。そんなお話です。

「サンフランシスコ体制」は、1951年9月8日に調印されたサンフランシスコ

講和条約日米安全保障条約によって、日本とアメリカとの間で形成された

二国間安保体制(「日米同盟」関係)のことです。

この体制は、長く戦後日本の「軽武装・経済重視」路線

(=「吉田ドクトリン」)を形成したと評価されてきました。

しかし、本当にそうなのか??

学習会の第一部は、「サンフランシスコ体制」の実相を知ることから

始められました。

 

2、「サンフランシスコ体制」の負の遺産

 平田先生は、ジョン・ダワ―氏の説に依拠しながら「サンフラン

シスコ体制」の負の遺産として、8つの視点を提示してくれました。

第一点は、沖縄問題。本土主権回復のために沖縄を“捨て石”にしたことは、

1947年時の昭和天皇マッカーサーへの発言で明らかです。

そして日本政府は今も、沖縄住民を「二等市民」のように

扱い続けています。現在は「辺野古基地移転」をめぐり、

政府と沖縄県の対立が続きます。

平田先生は、こうした沖縄における米軍基地問題を日本の問題と言います。

日本人の過半数が望む安保体制の維持のためには、在日米軍基地は

必須なのです。しかし、日本人、本土住民はこれまで、その事実を

直視してきただろうか、そんな疑問が湧きました。

第二点は、領土問題。

太平洋戦争の対日講和条約で、日本は領土を接するすべての国(地域)、

ソ連、韓国、中国、台湾と条約を調印しませんでした(片面講和)。

それにより領土問題は今も解決されず、近年その対立は、

さらに激しくなっていると感じられます。例えば「北方領土」問題は、

ヤルタ協定で千島・樺太ソ連領を約束しつつ講和条約では日本領とした、

アメリカの二枚舌外交がきっかけの一つとなっています。

第三点は、在日米軍基地の存在。

米軍基地はアメリカの軍事戦略のネットワークの一環です。

そしてその存在によって日本は、その他の軍事政策の選択肢を失っています。

第四点が、日本の再軍備問題です。

現在日本は、憲法で平和主義を掲げつつ、再軍備が拡大し続ける

矛盾を抱えています。そのため、再軍備の制限を取り除くための改憲は、

際限ないアメリカへの軍事貢献の逆らいがたい圧力にさらされることに

なるかもしれません。

第五点が、歴史認識問題です。

講和条約は、近隣アジア諸国への謝罪と償いを排除した、日本の独立回復を

達成させました。講和条約戦争犯罪は含まれず、戦前の政治家・官僚の

公職復帰が進みました。その結果、アジア諸国と日本の「記憶」は

共有されず、各国の「記憶」がプロパガンダになり、

終わりの見えない「歴史戦争」が引き起こされています。

第六点が反核世論とアメリカの「核の傘」が共存している問題。

第七点が、日本の親米路線と脱亜の思想。

第八点が日米関係の非対称性です。

このように改めて見直してみると「サンフランシスコ体制」は、

現代社会が抱えるさまざまな国内問題、国際問題につながる

起因を生みだしたと考えられます。

では、私たちは、今、これまでの日米関係を検証し、

これからの日米関係をどう築いていこうと考えるか。

そこを考えなければ、現在起こっている様々な議論に答えを

見つけることはできない、というご指摘で平田先生によるご講義は

終了しました。

 

3、未来を見据えて

 21世紀の現代は、これまで「当り前」とされてきたことが

「当り前」ではなくなった時代です。

私たちは、各自が複眼的な視点を持ち、他者との対話を繰り返して、

互いに受け入れられる妥協点を探していく、そうした困難で時間のかかる

気の遠くなるような営みを繰り返して、社会を形成していかなくては

ならない時代に生きています。

そこで第二部では、参加者による意見交流を試みました。

同じことを学んでも、自分とは異なる考え方をする人がいる。

その事実を受けとめて初めて、対話が始まってくるのではないかと

考えました。そのための意見交流です。

今般の学習会では、様々な経験を重ねた参加者が集い、

それぞれの視点からいろいろな意見を出していただきました。

第一部の講義ともに各自がそれぞれに考える種を得ることができたのではと

考えています。

 

まだまだ、運営側の経験、技術ともに拙く、参加者のみなさんの意見が

充分に引き出せたか、と言われれば、大変申し訳なく感じています。

しかし、今後も、多様な人々が多様な意見を自由闊達に交流し合える場を

企画・運営していきたいと考えています。

より多くのみなさんが「複眼的に」考え合う場となるように。

4月学習会場所と2015年度会計報告です。

4月の第5回学習会が迫ってきました。

今回は、アメリカとの関係から安保を考えます!

 

日にち:2016年4月16日(土)

 

時間:13:30~15:30

 

講師:平田雅己先生(名古屋市立大学)

   ご専門‣アメリカ政治外交史

 

テーマ:「日米関係史から安保体制を考える」

 

会場:名古屋市立大学滝子キャンパス1号館202号室

   *事前の告知やチラシでは409となっていましたが

    202に変更となりました!

 

名古屋市立大学滝子キャンパスへ☆

地下鉄桜山駅から徒歩7分です。意外と便利です。

駅とキャンパスの間には「一度は飲まなきゃ!」という

美味しいコーヒー専門店の吉岡コーヒーもあります。 

[http://:title]

 

 

 

参加費:100円(資料コピー代)

 

申込み:学内外を問わずどなたでもご参加いただけます。

    参加ご希望の方はメールにてご予約ください。

    tmsncu@gmail.com まで。

    今までの学習会出席者は

   (若い)学生2割+(そう若くない)学生3割+一般5割 

    といった感じです。どうぞ、お気軽にお越しください。

 

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2015年8月にこのtmsncu(複眼的に安保法制を考える名市大院生有志の会)を

立ちあげ活動を行ってきました。

学習会には、ご参加いただいた方から参加費を頂戴し

会の運営を行っています。

年度が変わることから3月末日時点での収支を

以下にご報告します。

 

【収入】

 

【支出】

 

 

【2016年度へ繰り越し】

 

繰り越し金は、2016年度の活動に使わせて

いたただきます。

 

「い・ま・こ・そ憲法 連続憲法講座2016」第1回の報告

 2016年3月26日 愛知憲法会議他主催の連続憲法講座2016があり、参加してきました。

参加者は50人弱だったでしょうか。

大人に交じって若者がチラホラの会場でした。

 

第1回は「トークセッション 若者と考える『民主主義』ってなんだ?」というテーマのもと

3人の若者をゲストに迎え、「民主主義」についてのトークセッションでした。

SEALDsTOKAIで活動をしている三重大学院生の東海さん、

名古屋わかもの会議に軸足を置きながらも色々な活動に取り組んでいるという

愛知教育大学1年生の西脇さん、

彼女は高校生の時に政治に対して「何かおかしい」と感じ

夏休みに50冊以上の参考文献を読破し論文を書き上げたという cuteなツワモノ。

もう一人はDemosKratiaで活動をしている名古屋大学院生の村田さん。

それぞれ若さと行動力と頭脳とオシャレさを持ち合わせた魅力的な若者たちでした!

 

講座はまず、コーディネーターの本秀紀先生(名古屋大学)の導入としてのミニ講座から始まりました。

 

 先生は、昨年初夏から盛り上がりを見せた安保法制に対する反対運動を

「新たな民主主義の胎動」であるとされました。

一般的な解釈である「独裁(安倍政権)vs民主主義」だけではなく

「代表民主制万能論vs国民の声を反映した政治」という

民主主義観をめぐる争いでもあると指摘されました。

そして特筆すべきことはこの「国民の声を反映した政治」をリードしたのが

若者であったということだということです。

 

(参考)SEALDsKANSAI 寺田さんの7月15日の街宣演説。

本先生によれば、この演説がエポックメイキングになったのではということです。

そして先生は何度もこれをみて感涙した!とのこと。

 https://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=Gu7zNMKYXts

 

先生はこうして新たに動き出した「民主主義」を更に以下の視点から分析されました。

 

①民意の反映のさせ方、捉え方 

現在の姿である「代表民主制万能論」(極端に言えば、選挙で選ばれているんだから

自分たち(議員)は何でも決めることができるという考え方)に対抗する

(SEALDsに代表されるような)「路上の民主主義」

 

②路上の民主主義の位置づけ 

カウンターデモクラシーとしての「路上の民主主義」なのか、

或いは全員参加の民主主義と捉えるか。

*カウンターデモクラシー(counter-democracy)とは

「デモや国民投票など、選挙以外の様々な方法によって、政府を監視・牽制し、民意を反映させようとすること。代表民主制を補完するものとして、2006年にフランスの歴史学者ピエール=ロザンバロンが示した概念。」

http://dictionary.goo.ne.jp/jn/ goo国語辞書より)

 

従来の民主主義が変化してきたのではない、新しい民主主義が生まれたのだと、ミニ講座は纏められました。

 

30分ほどの本先生の講義の後、

若者3人が自己紹介を兼ねて今取り組んでいる活動について語ってくれました。

その後、会場から出された質問に答える形でのトークセッションとなりました。

出された質問は、

若者から見て今の「おとな」たちはどう映るのか、から始まり

若者の政治参加を増やすためにどんな方策があると考えるか、

また新しい民主主義を牽引している若者が社会に出た時、会社の中ではどうなると思うか、

などバラエティに富んだものでした。

やや抽象的で分かりにくい質問にも、3人は真摯な態度と自らの言葉で

考えを語っていたのが印象に残りました。

 

≪トークセッションのキーワード≫

対話

対立の重要性

SNS

民主主義のインフラ

自発的

強制された中立性

小選挙区

選挙独裁

憲法13条

掛け布団から敷布団へ

 

2016年度の愛知憲法会議の憲法講座はこの第1回を皮切りに、

2回は「日本に求められる外交力」、

3回は、「元自衛官が語る戦争のり合うと憲法9条の輝き」、

4回は「学問は戦争の武器ではない」、

5回は「貧困の連鎖を断ち切るために」、

6回は「どうなる憲法、どうする憲法」というテーマで行われるとのことです。

魅力的なテーマと講師陣、時間があればまた足を運ぼうと思います。

*愛知憲法会議 

https://www.facebook.com/aichikenpoukaigi/