TMSNCUのブログ

「複眼的に安保法制を考える名市大院生有志の会」のブログです。

映画「日本と原発 4年後」を見て

映画を見てきたので、そのご報告です。

 

1、映画に行きました

 昨日(3月2日)、今池シネマテークで、映画「日本と原発 4年後」を観てきました。この映画は、20年にわたって原発差し止め訴訟を行ってきている弁護士の河合博之氏が、自ら監督となって製作したドキュメンタリー映画です。

作品は、2015年のある日、同日同時刻の東京新宿と福島県常磐自動車道

放射線量の比較から始まります。多くの乗用車が走るそこは、1時間3μ㏜。

新宿の100倍の放射線量です。

2011.3.11から2015年までに降った放射線量(セイシウム137)は、

原爆で広島に降った放射線量のすでに168倍になっているといいます。

そして、放射線は、今なお福島第一原発から降り続けている…。

 

 

2、3月11日、福島第一原子力発電所で起きたこと

 作品では、原発の仕組みについて、明快な説明がなされました。

メルトダウン」がどういうことで、原子炉建屋が爆発したことが

どういうことか。

5年前の3月11日が、日本に住むすべての人にとって、

どれほど危険な日であったのか…。

あの日、あの時、福島第一原発で、原子炉の爆発は起きても

おかしくなかったのです。

そして、もし、原子炉が爆発していたら…原発から半径250km、

盛岡から横浜まで、人間の住むことのできない土地になっていたと言います。

事態はまったく改善されていません。

なぜ、原子炉の爆発が起きなかったのか、今も、誰も分かっていないそうです。

なぜなら、事故の検証ができないからです。

誰も原発に近づくことができないからです。

毎日、400tの地下水が、原発を通り抜け、放射能汚染水となって

海に流れていっています。

これが安倍首相の言う「アンダーコントロール」です。

 

 3、地震大国日本の原発開発政策を考える

 日本の原発推進政策は、1960年「原子力の平和利用」という言葉で

始まりました。

それは、原爆のエネルギーを電気に替えるということです。

原子力の怖さを知っている「唯一の被爆国」日本が、

世界有数の原発保有国(54基)となっています。

地震大国で原発開発を行っているのは日本だけです。

原発推進国のフランスでは、地震は起きません。

日本国民は、原発の「安全神話」を信じ過ぎているのです。

実は、東電は2008年の時点で、貞観地震(8世紀)と同程度の地震

起きた時の津波を計算し、「15m」と予測していたそうです。

防潮堤の必要性や全電源喪失のシュミレーションもされていたといいます。

しかし、かかる経費を問題として、それはなかったものとして扱われました。

そうして起きた、福島第一原発事故

それは、「未曾有の天災」だったと言えるのでしょうか。

河合氏らは、あの原発事故は、東電による史上最悪の「公害」だといい、

安全確保義務を怠った東電責任者の刑事責任を問い続けています。

 

4、 原発とテロ

東野圭吾原作の映画『天空の蜂』が昨年公開されました。

原子力発電所に、ヘリコプターを墜落させるというテロ事件をめぐった話です。

原作が書かれたのは、2011年よりも前でしたが、

原発推進のために全国の原発は決して止めないと主張する政府の意見など、

とてもリアルな内容が含まれています。

この話の題材となっている、原発を狙ったテロについて、

例えばアメリカは、120人に及ぶ特殊部隊を各原発に配備し、

警戒しているそうです。

日本の原発は、5人グループ二つで、簡単に占拠されてしまうだろうと、

映画では説明されていました。

また原発テロでもっとも恐れられているのは、サイバーテロだそうです。

原発は、人間の力では制御できないからです。

電源がなくなったら、コンピューターが正常に動かなくなったら…

原発は簡単に暴走するのです。

 

5、原発再稼働の恐怖

原発の再稼働が、進んでいきます。

安倍首相は「世界最高レベルの安全基準」と言いますが、

原子力規制委員会は、「安全基準」だとは決して言いません。

原発は、安全ではないからです。

安全ではないけれど、原発の開発には「原子力ムラ」と呼ばれる、

利益団体、政治家、官僚など、日本の経済界と政治の世界の6割の人々が

関係しているので、止められないそうです。

「福島」は、一度で終わるのか?

「福島」でさえ、終わるときが見えない中、第二、第三の「福島」が、起きたら…。

御前崎にある中部電力浜岡原子力発電所では現在、高さ22mに及ぶ防潮堤で

発電所を囲む工事が進んでいます。

しかし、南海トラフ地震津波予測は、42mです。

東日本大震災福島第一原発を襲った津波の高さは、

シュミレーション通りの15m。予測は当たったのです。

もし、南海トラフの予測が当たったら…22mの防潮堤は、

原発を破壊する巨大な漂流物になるのかもしれません。

 

 原発事故は、5年たった今も、まったく収束していません。

収束に向かってもいません。

もし、また地震が来たら。

もし、事故が起きたら。

もし、原発テロが起きたら。

もし、もし、もし…。

この5年間、日本の大地は、毎日、放射能に汚染され続けています。

 

「日本と原発4年後」公式HP→http://www.nihontogenpatsu.com

「日本と原発4年後」Facebookhttps://www.facebook.com/nihontogenpatsu/

 

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TMSNCUの学習会のお知らせ

◎第5回学習会「日米関係史から安保体制を考える」

日時 2016年4月16日(土)13:30~15:30

講師 平田雅己先生(名古屋市立大学准教授)

場所 名古屋市立大学滝子キャンパス1号館

参加費 100円

 

◎第6回学習会「安全保障問題と有識者意識」

日時 2016円6月5日(日)10時~12時

講師 森正先生(愛知学院大学教授)

場所 名古屋市立大学滝子キャンパス1号館

参加費 500円

 

どなたでも学習会にご参加いただけます。

学生が1/3程度、2/3が一般社会人という構成が多かったです。

参加ご希望の方は、メールにてご連絡ください。

tmsncu@gmail.com

みなさまのご参加をお待ちしています。