TMSNCUのブログ

「複眼的に安保法制を考える名市大院生有志の会」のブログです。

主権者としての声明文

本日、国会にて安保関連法案が議決されました。私たちはこのことに強く抗議します。

安保関連法案の内容は「違憲」であり、また、その提議・審議・議決のあり方は立憲主義の精神に反した「非立憲」です。

これは、法治国家であり、立憲主義をとる日本国家の根幹を揺るがすものであり、国民の多くはこのことに疑問を感じています。

政府は、法案の必要性、内容、懸念される事案などについて、国民に納得が得られるような説明を十分にすることなく、「国民の安全のために必要な法案だ」と繰り返し述べるのみでした。

私たちはこのように、憲法が軽視され、国家権力が法治主義を自己に都合のいいように解釈しようとする政府・国会のあり方に不安を感じています。

 

 これまで私たちは、安保法制について学習会を続けてきました。

 第1回目は憲法学を学習し、「立憲主義」の思想を学びました。「憲法によって権力者の恣意的な権力行使を制限しようとする思想」である立憲主義は、公権力による人権保障の確保を目的とするものであり、権力の暴走を防ぐための権力分立国民主権を求めたものです。衆議院憲法審査会では、与党推薦の3人の憲法学者が法案の内容は「違憲」だと述べました。「国の最高法規」である憲法に照らして、この法案は「違憲」だと多くの憲法学者は述べているのです。私たちは、このことを重く受けとめています。

 

こうした憲法学からの「違憲」の声に対して、政府与党は「国際情勢の変化を考えると必要だ」と説明しました。そこで、第2回目は国際社会における安全保障の構想を学習しました。第二次世界大戦後から考えると、「国際情勢の変化」は冷戦後に起きています。冷戦体制の終結は、民族紛争や地域紛争などそれまでの大国間とは異なる紛争を生みだしたのです。すでにそれから20年です。なぜ、今なのか、国際情勢がどのように変化したのか、今後、日本が対応しなくてはならない具体的な情勢変化についての説明は十分にはありませんでした。

軍事同盟によって戦争の抑止力を高めるという意見と、それが戦争の危険性を高めるという意見は、互いに証明できない信念のようなものだと考えます。ただ、軍事力による抑止力が、軍事力の拡大を招くであろうということは、冷戦時の歴史が教えてくれています。

 

安保法案審議が行われている最中に、政府は米軍辺野古基地工事の再開を決めました。日米同盟が国家にとって必然ならば、米軍基地負担は日本国全体が負うべきものでしょう。しかし、「最低でも県外」を受け入れる地域は現れませんでした。日米同盟による日本側の義務である米軍駐留負担を実質上負っているのは沖縄です。そこで、第3回目は沖縄学を学びました。

安保法案によって、日本の米軍基地や軍事演習がどのように変化するのか、沖縄の基地負担はどうなるのか。また、他国の軍事基地が置かれるとはどういうことであり、しかし、それがないと国家防衛にはどのようなリスクが考えられるのか。それらは、国家の安全保障体制を考える上で重要な問題だと考えます。日米同盟の強化を考えるならば、これ以上の負担は受け入れられないという沖縄県知事の言葉を、他県に住む私たちは真摯に受け止めなくてはならないでしょう。

 

安保法案に関わり、まだまだ考えなくてはならないことはたくさんあります。

私たちは未熟な学生です。ですが、私たちは、自ら学び、自ら考え、自ら行動していくことが未来をつくる力になると信じています。

今回のことを通じて、私たちは、民主主義とは何なのか、立憲主義とは、国民主権とはどういうことなのか、これまで以上にその重要性を実感することができました。

政治のあり方を決めるのは国民です。国会議員の議決は、国民の代表として行っていることです。

 

私たちは、「この政治」から学び、主権者としての今後の行動を考えていきます。

 

そのために物事を複眼的に思考し、自分とは異なる考えの他者との合意形成を目指します。

それは「強いリーダーシップ」ではなく、「普通の人々」による政治です。

異なる考えの他者との合意形成には時間がかかるでしょう。

ですが、私たちは諦めません。政治に対しても、社会に対しても。

そして、私たちは、学び、発信していきます。

それが学問を追究する私たちが、これからの未来の世界に示すべき一つの道であると信じています。

 

これは、安保法案採決に対する抗議文であり、私たちの主権者としての決意を示す声明文です。