TMSNCUのブログ

「複眼的に安保法制を考える名市大院生有志の会」のブログです。

第7回学習会まであと1週間です!

2017年9月3日(日)午後2時~4時 第7回学習会を開催します。

 

テーマは、これ ↓ ↓ ↓ です。

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 参加費500円。

 

今回の学習会では、「子どもと女性」の政策から安倍政権を

読み解きます。

 

講師は、首都大学東京の堀江孝司先生(政治学・政治政策学)です。

 

最近の論文等をご紹介します。

「労働供給と家族主義の間ー安倍政権の女性政策における経済の論理と家族の論理」
首都大学東京紀要2016.3)
 
 
成長戦略としての「女性」ー安倍政権の女性政策を読みとく
シノドス2016.7) 
 
 
安倍政権の女性政策
(法政大学大原社会問題研究所雑誌・201702)
 
 
安倍政権 受け皿不在の強さと野党の責任
(現代の理論)

 

 

当日は堀江先生からのお話しを聞いたあと

安倍政権の通知表をお一人お一人作成していただく予定です。

 

どんな通知表ができあがるのでしょうか。

 

わくわく。楽しみです。

 

今回の学習会は大学ではありません

栄にある名古屋YWCAビル4階404号室で行います。

 エレベーターで4階までお越しください。 

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栄の地下鉄5番出口から徒歩3分です。

 

今までの6回の学習会は

20代からたぶん70代の実に様々な

方にご参加いただきました。

それが故に、実りの多い学習会になったと考えています。

 

 

アットホームで気楽に政治を考えることができる会です。

 

みなさまのご参加をお待ちしています。

 

 

 

 

第7回学習会が決定しました!

しばらくぶりの学習会を開きます。

 

テーマは

「安倍さんが描く子どもと女性の未来予想図(怖)

~主権者として現在の政治を評価してみよう~」。

 

今回は、首都大学東京の堀江孝司先生をお招きします。

堀江先生のご専門は政治学・社会政策学で、

最近は安倍政権下の女性政策についての論文を多く書かれています。

tokyo-metro-u.repo.nii.ac.jp

 

学習会では、まず安倍政権での子どもと女性に関する政策を

4~5つの視点で堀江先生よりお話しいただきます。

 

その後、参加者自らがその挙げられた視点について

点数をつけ、安倍政権の成績表を作るということを考えています。

 

「女性政策」や「子どもの未来」という視点から

安倍政権についてじっくり考える貴重な時間となると思います。

 

ぜひご参加ください。

 

日時:2017年9月3日(日曜)午後2時から4時

 

場所:公益財団法人名古屋YWCA 4階404号室

   Google マップ

   ↑ 今回は大学では行いません。

   暑い時期ですのでクーラーが使えて

   地下鉄の駅から近いところにしました!

          (地下鉄栄駅5番出口より徒歩3分)

 

参加費:500円

 

申込み:事前にe-mailかfacebookのメッセージで

    ご予約ください。

    e-mail  tmsncu@gmail.com

    facebook → https://www.facebook.com/TmsNcu/

 

どなたでも参加していただける気楽な会です。

ご予約お待ちしています。

 

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「民主主義を蔑ろにする安倍政権」に反対します

 2015年夏の安保関連法案審議をめぐる国会の混乱以来、

社会は私たち「個人」の考えを超えるスピードで変化し続けています。

2017年のニュースだけでも、辺野古埋め立て開始、森友学園問題、

加計学園問題、南スーダン自衛隊撤退、「共謀罪」採決など、

両手では数えきれません。

これら1つ1つの動きを、どう考えたらいいのか、変化をどう捉えたら

いいのか。迷い考えているうちに流され、馴らされ、批判することを

諦めていた自分がいます。

 

 しかし、批判するものの絶えた社会に多様性は在りうるのでしょうか。

混迷する社会の中だからこそ、民主主義社会の主体である私たち

一人ひとりが学び考え議論し、複眼的に物事を思考し

行動していかなくてはならないのではないか、今、改めて感じます。

 

 現在の安倍政権が示す多くの問題点のうち看過できない2点を挙げます。

 

 第一に、政治的対立を含む問題を意のままに、よりスピーディーに

決したいとしていることです。

異なる他者との合意形成には時間がかかります。

国会には、一般法案は30時間、重要法案の審議時間は100時間程度の

審議時間という目安があると言います。

共謀罪」の衆議院審議は30時間を超えたところで採決されました。

このことからは現政権が合意形成のための議論ではなく

形式としての議論を行っていることがわかります。

 

 第二に、誰かの立場を正当化するために政治が恣意的に行われている

ということです。強弁する安倍首相の姿はもはや日常となりました。

目立たないところでも2017年3月4日朝日新聞には、

学習指導要領改訂案の領土に関する文部科学省教育課程課長

合田哲雄氏による「(小中では)国の立場を言い切る指導を」という

コメントが掲載されました。

これは、「国の立場」を正しいものと認識する一眼的思考を促す

教育を求めるものです。

 

 このように現政権が突き進む方向性は、複眼的思考と議論による

合意形成にもとづいた民主主義社会とは異なっています。

権力を握った一部の者の考えで社会の方向性を決定している

今の政権には、多様な人々の存在を尊重する民主主義社会の

実現は不可能です。

 

スピード

一方向的な意見

強いリーダー

 

民主主義社会の主体たる私たちはそのどれも望んではいないのです。

 

安倍政権では民主主義社会の実現は望めません。

 

私たちは、民主主義を蔑ろにする安倍政権に対し強く反対します。

 

                  2017年5月29日 TMSNCU一同

 

 私たちTMSNCUは2015年8月に当会を立ち上げ、「複眼的視点」を

キーワードに「今」の社会を見つめ読み解くことを目指し、

他者と議論し行動してきました。

この1年は、発信をすることはありませんでしたが、

今こそ学び、考え、自分のコトバで語り、議論したいと考えます。

行動することを恐れるようにはなりたくない。

それが、今私たちの考えです。

投票するということ

 

いよいよ安保関連法が成立して以来、初めての国政選挙が行われます。

投票にあたり、これまでTMSNCUが学習してきた内容を

5つの視点で簡潔にまとめました。

投票選択の一助となれば幸いです。

 

■ 憲法 

1 「立憲主義」とは何か?

立憲主義は「法によって権力を縛る」という考え方です。

そして、現代の立憲主義である「近代立憲主義」には、

そこに「個人の尊重」の価値観が含まれます。

そのため人権保障の確保のための権力分立や国民主権

含んで立憲主義は成立しています。

 

2  安保関連法と憲法9条

憲法が成立して以来、9条をめぐる憲法解釈はさまざまな変更を経て、

1970年代からおおよそ自衛隊は「自衛のための必要最小限度の実力」

として存在してきました。

そこでは、他国の「武力行使と一体化」した自衛隊の海外出動は

違憲と考えられてきました。

今回の安保関連法は、この点を変更するものであり、

さらに憲法9条が明確に否定する集団的自衛権を容認するもの

という特徴を持ちます。

 

(第1回学習会「教えて!憲法」2015年7月27日より)

 

――――――――――――――――――――――

●選挙の前に自民党改憲案を読むことをお勧めします。(http://constitution.jimin.jp/draft/) 

時間がない方は、こちらのYouTubeが分りやすく現憲法

自民党改憲案を比較しています。

https://www.youtube.com/watch?v=6TNg8xauLCY) 

 

 

■ 国際情勢

3 ウエストファリアシステムの限界から生まれた「集団安全保障」

ウエストファリアシステムは「国際社会のバランスは各国家の国益

最優先にした行動で維持されるという考え」です。

このシステムでは、軍事力が国際社会のバランス維持において

最も効果的だと考えられ、それが第一次・第二次世界大戦

引き起こしました。

そこで国際社会が生み出したのが、1945年の国際連合憲章

第7章第51条の「集団安全保障」です。

それは、侵略国の行為に対して国際社会が連携して行動する(国連軍)

ことです。各国の自衛権は、「個別的」「集団的」ともに、

この国連による集団安全保障の枠内に置かれています。

 

4 紛争の多様化と「国際貢献

1996-1999年に起きたコソボ紛争は、これまでの「国益第一主義」

とは異なる「人道的理由」によって国際社会が介入する

初めての紛争でした。これによって「積極的平和主義」が

新しい人道的介入による戦争を生み出しました。

こうした国際紛争の多様化に対応する現代国際社会のおける

安全保障の考え方は、「国益-地球的価値」と

「軍事-非軍事」の二つの対立軸で考えることができます。

現在日本における、一国平和主義「国益・非軍事」への批判は、

コスモポリタン戦争「地球的価値・軍事」の思想からのものですが、

コスモポリタン平和主義「地球的価値・非軍事」の思想の可能性も

同様に開かれているのです。

 

(第2回学習会「21世紀の国際社会と安全保障をめぐる対抗構想」2015年8月15日より)

 

――――――――――――――――――――

● 昨年の安保法成立で日本を守るためだけでなく、

他国のために戦うことが可能となりました。

また世界からは、日本は平和主義を捨てたと認識されています。

現政権下では、この動きは更に加速される方向性にあります。 

 

 沖縄

5 沖縄の本土「復帰」と「今」

琉球・沖縄には4つの大きな時代の節目「世(ゆ)替わり」があります。

薩摩入り、琉球処分、沖縄アメリカ統治、本土復帰です。

そのすべてが外から軍隊がやってくるというものでした。

しかし、そのうち、1972年の本土復帰だけは、沖縄人「うちなーんちゅ」が

自ら望んだ転換でした。

沖縄は、日本国憲法が掲げる「平和主義」に内包されることを

望んだのです。しかしながら、アメリカ占領軍の代わりに

沖縄には自衛隊がやってきました。

また、米軍基地はその後も沖縄に置かれ続け、

在日米軍基地の74%が沖縄にあります。

 

6 沖縄は「捨て石」か?

なぜ沖縄に米軍基地が置かれなければならないのか?

沖縄に米軍基地を置いているのは、日本の選択であるということを

考えることが大切です。沖縄の問題は「沖縄」の問題ではなく、

また、過去の問題ではなく今の問題です。

 

(第3回学習会「琉球・沖縄について語り考える」 2015年9月12日より)

 

―――――――――――――――――

● 沖縄になぜ、基地が必要なのでしょうか。

「抑止力」「基地依存経済」という虚像を捨て、自分のこととして

沖縄を考える必要があります。

自分が住んでいるところに、基地がやってくることを受け入れますか?

もし「NO」なら、沖縄に基地も「NO」のはずです。

 

 日米関係史

7 「サンフランシスコ体制」を再考する

「サンフランシスコ体制」は、1951年9月8日に調印された

サンフランシスコ講和条約日米安全保障条約によって、

日本とアメリカとの間で形成された二国間安保体制

(「日米同盟」関係)のことです。

この体制は長く、戦後日本の「軽武装・経済重視」路線

=「吉田ドクトリン」を形成したと評価されてきました。

しかし、「サンフランシスコ体制」には負の遺産がある、

それが

①沖縄問題

②領土問題

在日米軍基地問題

④日本の再軍備問題

歴史認識問題

反核世論とアメリカ「核の傘」の共存

⑦親米路線と脱亜の思想

⑧日米関係の非対称性

です。「サンフランシスコ体制」は、現代社会が抱える

さまざまな国内問題、国際問題につながる起因を生み出したのです。

 

(第5回学習会「日米関係史から安保体制を考える」 2016年4月16日)

 

● 今後、日本の外交政策の基本をアメリカが決めるという流れが

加速されるでしょう。

ジョン・Wダワーとガバン・マコーミック著の

『転換期に日本へ-「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジアか」』

NHK新書出版を読んでみてください。

現在の日米関係がひも解けます。

 

 選挙

8 投票行動の決定要因

投票行動の決定要因には、「社会的属性(性別、年齢など)」、

「政党支持」、「争点態度」、「業績評価」などがあります。

このうちもっとも規定力が強いのは「政党支持」要因です。

しかし政党支持とは異なる政党に投票する逸脱投票の存在や

政党支持層なしの動向によって選挙結果が変動することがあります。

こうした変動をもたらすのが選挙争点や首相・政権に対する

業績評価です。

そこで、選挙争点の設定が、選挙戦を主導するために重要になります。

 

9 近年の選挙

現在は、2010年の参議院選挙時に比べ、自民党支持率は

高まっています。

また、内閣支持率は、2015年秋以降、支持・不支持の固定化・二極化に

進んでいると考えられます。

近年注目されるのが、無党派層の動きです。

有権者の30~40%を占める無党派層のうち20%近くは政治に無関心で、

投票に行かない(と思われる)層です。

その残りの無党派層の人々の投票行動は、明確な争点がない場合、

選挙の勢いを強めることはあっても、選挙を動かすものには

なりづらいそうです。

そこで、「山が動く」ような選挙のポイントは、逸脱投票となります。

それは、選挙の争点と有権者の関心とが合致しながらも、

政党間の意見にはっきりとした違いがある場合におきます。

 

(第6回学習会「安全保障問題と有権者意識」 2016年6月5日より)

 

 投票するということ

以上が学習会の報告です。

第1~5回の学習会からは、「今」が戦後日本社会の

大きな転換点あることがわかります。

一方、第6回の学習会からは、近年の有権者投票行動

固定化していることが明らかになりました。

それは、先の見えない時代の中で、現代人が「変化」を恐れ、

異なる他者との交流を拒絶しようとする姿を現しているのかもしれません。 

しかし、少なくても「現状維持がいい」という考えを持っているなら、

与党に投票するのは、上の学習会まとめからも「違う」ということが

わかると思います。

それは、与党の示す方向に社会を進めることへの支持です。

なぜなら、各政党の得票は「政党支持」を表し、

それは「政策支持」を意味すると解釈されるからです。

「投票するということ」が、自分の意思はどうであれ、どうみなされるのか。

それを自分自身に突きつけ、考えるための、あと1週間となります。

 

見えない未来に不安を思うのではなく、新しい未来を築くことへの

希望を持ち続けるための力に、この「学び」がつながることを

信じたいと思っています。

 

第6回学習会「安全保障問題と有権者意識」報告

6月5日に行いました第6回学習会の報告です。

 

■なぜ、いま「選挙」を知る必要があるのか

7月10日に、安保関連法採決以来の国政選挙である参議院選挙が行われます。

安倍首相は今回の選挙を、政権の「信を問う」選挙と位置づけました。

また、18歳選挙権の導入で、新たに有権者が約240万人増加します。

今回の選挙はいろいろな点から、今後の日本社会の分岐点となり得る選挙とも

考えられるのではないでしょうか。

しかしながら、私たちは「選挙」の実像や投票行動についての知識は

ほとんど持ち合わせていないと言えます。

日本のこれからを左右するであろう選挙を前に、

知の衣さえまとわずに佇んでいるという現状に危機感を感じ、

現代日本における選挙と政治過程の実証分析をご専門としていらっしゃる

愛知学院大学総合政策学部教授森正先生をお招きし

『安全保障問題と有権者意識』のタイトルでお話していただきました。

 

■学習会のポイント

 

まず、学習会では「政策」を考えるために必要な三つの視点が提示されました。

第一 私たちにとっての理想の政治は何かを考察する

第ニ 現状の政治について客観的に分析をする 

第三 理想と現状のギャップを埋めるための手段(政策)を考える

選挙や投票行動の研究は、このうち第二の現状分析にあたります。

 

政治家は何を訴え、有権者は1票に何を託したのか――もし、当選した

政治家が自分に託された票の意味を恣意的に解釈すると、

有権者の1票は雲散霧消してしまう、

だからこそ「データに基づく客観的な分析」が必要であるとのことです。

選挙・投票行動研究は現在の政治の是非や運動論そのものとは一線を画します。

しかし、現状を分析することによってのみ、スタートラインが明確になり、

ゴールへの正しい道すじが求められる、との指摘がありました。

つづいて、以下に学習会中、最も時間をかけて説明がなされ、また出席者の関心も高かった投票行動の決定要因について記します。

 

投票行動の決定要因には、大きく性別や年齢などの

「社会的属性」、「政党支持」、「争点態度」、「業績評価」などの

要因があります。

このうち、最も規定力が強いのは政党支持要因ですが、

政党支持とは異なる政党に投票する逸脱投票の存在や政党支持なし層の

動向いかんによっては、選挙結果が大きく変動します。

こうした変動をもたらすのが選挙における選挙における争点や

首相・政権に対する業績評価です。

 争点が投票行動に影響を与える争点態度投票の条件としては、

一般に以下の3つが挙げられています。

(1)争点の重要性:有権者の関心の有無

(2)争点の質:政策の違い・対立軸の有無

(3)有権者の意見分布

さまざまな争点のうち、ここでは争点を「生活争点 ⇔ 社会争点」、

「対立争点 ⇔ 合意争点」という軸で分類してみます(下図参照)。

有権者にとって関心が高いのは、景気や社会保障といった生活に身近な争点。

逆に安保問題、憲法問題などは社会争点と呼ばれ、過去の選挙でも

有権者の関心はあまり高くなかった、ということです(空間C)。

いっぽう、政党間であまり違いが生じない争点を合意争点と呼びます。

景気対策社会保障などは、どの党も「充実させる」という方向性が同じなので、

関心は高くても投票行動の決め手にはなりにくい(象限B)。

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つまり、有権者投票行動に大きく影響するのは、

有権者の関心が高い生活争点かつ政党間で意見の異なる対立争点(象限A)

ということになります。

関心の高い生活争点についてどのように対立軸を演出していくか、

対立は明確であってもこれまであまり関心が高くない社会争点について

どのように有権者の関心を引き出すか、が投票行動に決定的な

意味を持つということです。

裏を返せば象限Aに争点を設定できれば、有権者の1票が動く可能性が

あるということになります。

選挙戦で主導権を握るためには、まさに争点をどう設定するか、

アピールするかが重要なのです。

(過去の選挙における象限Aの例:2015年「郵政民営化」、

 1989年「消費税廃止」など)

上記の整理に沿って、先生が示された今現在の2016年参院選における争点の配置は

下図の通り。

最も有権者に働きかける力を持つ象限Aの空間が空白であるということです。

安保問題、憲法問題は象限C、景気対策や消費増税先送りは象限Bになります。

象限Aのゾーンに入る争点が設定されなければ、有権者投票行動

最も大きく影響するのは「政党支持」です。

つまり、投票行動に影響を与えうる争点(象限Aの部分)がないときには、

有権者は政党支持に沿った選択をするとのこと。

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次に、これも選挙結果に影響を与える業績評価投票を見てみます。

業績評価投票は、現職・与党に対する評価を表わす投票のことです。

現在は、2010年参議院選挙時に比べ、自民党支持率は高まっています。

また、内閣支持率は、一般に政党支持率に比べて大きく変動するものですが、

安保法制の審議が行われた2015年秋以降、支持率は回復し、

その変動も小さくなり、支持・不支持ともに固定化・2極化が

進んでいると考えられます。

 その他の投票行動に与える要因としては、近年の政治不信の高まりによる

投票率の低下や選挙制度があります。

参議院選挙の選挙制度は、小選挙区(1人区)と中選挙区(2~6人区)、

比例区が混合したもので、与党有利の制度となっています。

こうした一党優位の状況下では、野党による選挙協力

戦略として考えられます。

しかし、各党の政策協定が安保や憲法問題にとどまっていること、

現状では候補者を一本化させたにすぎないことに加え、

選挙後の政治運営の難しさは、これまでにすでに明らかです。

 

■学習会を終えて

データ分析に基づく研究のポイントは、「こうある」と「こうあるべき」との

違いと認識しました。私たち有権者は「政治家にはこうあってほしい」と

思っています。

ですが、政治家は「べき」だけでは動かない。

そう、政治家にとって大切なのは、やはり選挙で当選するかどうか。

選挙に「大義」があるかどうかは問題ではなく、

政治家は、自らの当選に有利なように争点を設定し選挙活動をするのです。

あたかも「大義」があるかのように、争点を設定した時点で選挙活動は始まり、

うまく土俵を築いた方が選挙戦を主導していくのです。

 近年、政党支持なし層の動きが注目されていますが、

有権者の30~40%を占める無党派層のうち20%近くは

政治に全く無関心で、投票に行かない(と思われる)層。

残りの政党支持なし層の人々の投票行動は、投票に影響を与えうる

明確な争点がない場合、選挙の勢いを強めることはあっても、

選挙を動かす(「山が動く」ような)ものにはなりづらいとのことです。

同様にメディアの報道体制が選挙結果を左右すると考えられがちですが、

これも投票行動の勢いを強めることはあっても、結果を変えるものでは

ないとのこと。

では、どのような時に「山が動く」ような選挙が起きるのか。

自分が支持する政党以外へ投票することを「逸脱投票」と呼ぶそうですが、

この逸脱投票がどれだけあるかがポイントとなりそうです。

逸脱投票は選挙の争点が有権者の関心と合致しながら、

政党間に違いがある場合におきます。「山が動く」選挙は、

日常に近く政党間の違いがはっきりとわかる争点の選挙で、

より有権者の支持が多い政策を掲げることに成功した政党が登場した時に

起きるのだと理解しました。

 1990年代から政治不信が高まり、民主党政権を経て、

今また政治不信が深化していると感じられます。

政治家と有権者の関心の乖離が原因でしょうか。

7月の参議院選挙、さらには今後の選挙に向けて私たちに必要なことは…。

 先生は18歳選挙権、それが選挙結果そのものを大きく変えることは

ないだろうとおっしゃいました。

ただし、「18歳選挙権」をきっかけに、子どもたちへの「主権者教育」が

進んでいくのなら、今後の選挙はゆっくりとではありながらも

大きく変化する可能性があるだろうともおっしゃいました。

翻って、私たち大人はこれまでどうであったのか?

「主権者」として選挙を考え争点を示し投票に結びつけてきたのか。

選挙を投票日だけ、あるいは、議会の中のものだけとしてきたのではないのか。

自分たちが関わる日常を「政治」とつなげて考えていくことが大切であり、

有権者の責任でもあると強く感じた学習会となりました。

 

 森正先生には、お忙しい中講師を引き受けて下さりありがとうございました。

大変有意義な学習会となりましたこと、感謝申し上げます。

ありがとうございました。

 

学習会「安全保障問題と有権者意識」は来週5日です!

TMSNCU第6回学習会の会場が決まりました!

名古屋市立大学滝子キャンパス1号館の202教室です。

今回学習会で取り上げるのは、選挙。

「安全保障問題と有権者意識」をテーマに

2016年6月5日(日)10時〜12時に

愛知学院大学の森正先生をお招きして行います。

 

一人の有権者が、ある一人の候補者に票を入れる。

この投票行動は一体どのような過程を経て行われるのか。

個人の行動が、どのように集積したときに民意となるのか

また当選者には、果たして民意が反映されているのか。

 

そういったことを学び、そして議論します。

お菓子をつまみながらの気楽な会です。

是非お越しください。

私たちの学習会場の隣の教室203では

同日午後13時30分から第9条の会主催の

講演会が予定されています。

反骨のジャーナリスト山口正紀さん講演会だそうです。

5日の午前は選挙を、そして午後からは報道を学ぶ。

そんな日曜日、ハードだけど充実!

ご参加をお待ちしています。

参加ご希望の方は、レジュメの準備上ご予約を、お願いします。

tmsncu@gmail.com まで。

名古屋市立大学滝子キャンパスは

地下鉄桜通線の桜山駅5番出口から徒歩7分です。 

 

 

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第6回学習会は「選挙」がテーマです。

第6回学習会のご案内です。

 

これまでの選挙で有権者が選んできたものとは何か。

選挙は民意を反映しているのか。

 

今の政治を見ていると、そんなことすら

わからなくなります(涙)

 

有権者の意識はどう作られ、

選挙行動にどうつながっていくのか

 

これらを知ることは、

7月の参院選に向けて

重要なことだと思います。

 

講師は、現代日本における選挙と政治過程の

実証分析がご専門の森先生(愛知学院大学教授)です。

テレビ等の選挙解説でもご活躍されている

「選挙」の第一人者から直接そして身近にお伺いできるチャンス!

 

ぜひぜひご参加ください。

 

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日にち:2016年6月5日(日)

時間 :10時~12時

講師 :森正先生(愛知学院大学教授)

参加費:500円(講師費・資料コピー代)

会場 :名古屋市立大学滝子キャンパス1号館

申込み:学内外を問わずどなたでもご参加いただけます。

    参加ご希望の方は事前にメールにてご予約お願いします。

    tmsncu@gmail.com  ←クリック

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