TMSNCUのブログ

「複眼的に安保法制を考える名市大院生有志の会」のブログです。

憲法施行69周年市民のつどい「立憲・民主・平和と憲法」報告

 2016年5月3日憲法記念日に名古屋市公会堂で、「立憲・民主・平和と憲法」と題し、憲法施行69周年市民のつどいが行われました。この「市民のつどい」は、毎年憲法記念日に開催されているものです。公会堂のある鶴舞駅周辺は、開場を待つ参加者たち、耳をつんざくような大音量で参加者たちを威嚇?説得?しようとする街宣車、そして大勢の警察官で溢れていました。

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(開場を待つ人の列)

 

 今回は、オープニングに合唱(組曲「砂川」)があり、続いて第1部として学習院大学教授の青井未帆先生(専門・憲法学)のご講演、第2部にナターシャ・グジーさん(ウクライナで6才の時に被爆した歌手)のコンサートという構成でした。

 

 

 青井先生は「今、何が問われているか~立憲主義・平和主義から考える~」をテーマに約1時間、憲法を丁寧にそして誠実に分析し、そこから導きだされる現在の状況、その問題点、それに対して私たちがやるべきことを話されました。以下、幾つか心に残ったことを挙げます。

1)現在の状況

・日本は、「戦わない国」から「戦える国」になった。

 これは戦後経験のない程の大きな変化である。

2)憲法

 ・憲法とは、どういう国を目指すのかを示したもの。

 ・9条は安全保障や政策の仕組みを示すものだが、広く日本社会のあり方を

  示すものである。

 3)安保関連法と改憲

 ・改憲は今まで平和主義を掲げてきた日本のあり方を変える。

 ・「戦わない」と高らかに謳った9条のもと、自衛が許容される根拠は

  13条の国民の生命・自由・幸福追求の権利」であった。

  つまり外国の武力攻撃によって「国民の生命・自由・幸福追求の権利」

  が脅かされることが起こった場合、これらの権利を守るために

  必要最小限度の「武力の行使」は許容されるというものであったはず。

  しかし集団的自衛権の行使容認で「国民の生命・自由・幸福追求」の

  ために他国を守るということになり、説明がつかない。

 ・与党が目指す「憲法改正」の意味を見極めなければならない。

  改憲案は、明らかに人権が狭められている。

 4)今、そしてこれから

 ・私たちがやるべきことは長期的には立憲主義の立て直し、

  そして短期的には選挙!

 ・国民として政治に責任を持つ。

 

 内容や用語が門外漢である自分にはやや難しく、話についていくのが

大変でした。レジュメがあれば理解が進んだと思うけど、

会場は、事務局発表で2,496人!。全員分用意するのは無理ですよね。

 

 青井先生の語り口は落ち着いて静かながらも、ここで私たちが立憲主義

立て直さなければならない、という強い意志が見えるもので

「私たちも政治に責任を持つ」ことの重要性を改めて認識させて

くれるものでした。

 

 第2部は、ナターシャ・グジーさんのコンサート。どこまで高音がでるの?

というくらい音域が広く情緒的で、耳ではなく心に響くような歌声でした。

歌の合間の語りも被爆の当事者だからこそ語れる深く重みのあるものでした。

 

「市民のつどい」の後は、鶴舞から矢場町までのデモに参加しました。

両脇をすごい数の警察官に守られながら?のデモ。

 

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デモの長い列が通り過ぎるまで、車は足止め。何だかすみません。

大須を通る時には買い物に来ていたワカモノや外国人にスマホ

激写されて、ビミョーな気分。

デモ参加者の平均年齢はやや高く(失礼!)シュプレヒコール

ちょっと長いと(覚えきらず)みんなグズグズ。

今風の掛け合い型にもオロオロ・ワタワタ。

苦笑しながら、でも、元気に鶴舞から矢場町まで歩いて帰ってきました。

 

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(デモに出発したところ)

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複眼的に安保法制を考える名市大院生有志の会第6回学習会

 

7月に行われる参議院選挙を前に「選挙」とは

有権者意識」とは何かを学習します。

講師は、投票行動研究・世論研究の第一人者で

テレビの選挙解説などでもご活躍されている森正先生です。

専門家のお話しを身近に聞くチャンス!

是非、ご参加ください。

 

テーマ:「安全保障問題と有権者意識」

日にち:6月5日(日曜日)

時間:10時~12時

講師:森正先生(愛知学院大学教授)

会場:名古屋市立大学滝子キャンパス1号館

参加費:500円

申込み:学内外を問わずどなたでもご参加いただけます。

参加ご希望の方はメールでご予約ください。

tmsncu@gmail.com

 

 

「日米関係史から安保体制を考える」学習会報告です。

1、「日米同盟」という名の宿痾―「サンフランシスコ体制」再考―

 

 今回は、名市大人間文化研究科准教授でアメリカ政治外交史を専門とする

平田雅己先生のお話でした。

タイトルは『「日米同盟」という名の宿痾』。

「宿痾(しゅくあ)」とは、「持病、長い間治らない病気」(『デジタル

大辞泉』より)のことです。

日本が独立を獲得した、1952年の「サンフランシスコ体制」が生み出した、

その後の日本社会の方向性を、今改めて問い直してみる。そんなお話です。

「サンフランシスコ体制」は、1951年9月8日に調印されたサンフランシスコ

講和条約日米安全保障条約によって、日本とアメリカとの間で形成された

二国間安保体制(「日米同盟」関係)のことです。

この体制は、長く戦後日本の「軽武装・経済重視」路線

(=「吉田ドクトリン」)を形成したと評価されてきました。

しかし、本当にそうなのか??

学習会の第一部は、「サンフランシスコ体制」の実相を知ることから

始められました。

 

2、「サンフランシスコ体制」の負の遺産

 平田先生は、ジョン・ダワ―氏の説に依拠しながら「サンフラン

シスコ体制」の負の遺産として、8つの視点を提示してくれました。

第一点は、沖縄問題。本土主権回復のために沖縄を“捨て石”にしたことは、

1947年時の昭和天皇マッカーサーへの発言で明らかです。

そして日本政府は今も、沖縄住民を「二等市民」のように

扱い続けています。現在は「辺野古基地移転」をめぐり、

政府と沖縄県の対立が続きます。

平田先生は、こうした沖縄における米軍基地問題を日本の問題と言います。

日本人の過半数が望む安保体制の維持のためには、在日米軍基地は

必須なのです。しかし、日本人、本土住民はこれまで、その事実を

直視してきただろうか、そんな疑問が湧きました。

第二点は、領土問題。

太平洋戦争の対日講和条約で、日本は領土を接するすべての国(地域)、

ソ連、韓国、中国、台湾と条約を調印しませんでした(片面講和)。

それにより領土問題は今も解決されず、近年その対立は、

さらに激しくなっていると感じられます。例えば「北方領土」問題は、

ヤルタ協定で千島・樺太ソ連領を約束しつつ講和条約では日本領とした、

アメリカの二枚舌外交がきっかけの一つとなっています。

第三点は、在日米軍基地の存在。

米軍基地はアメリカの軍事戦略のネットワークの一環です。

そしてその存在によって日本は、その他の軍事政策の選択肢を失っています。

第四点が、日本の再軍備問題です。

現在日本は、憲法で平和主義を掲げつつ、再軍備が拡大し続ける

矛盾を抱えています。そのため、再軍備の制限を取り除くための改憲は、

際限ないアメリカへの軍事貢献の逆らいがたい圧力にさらされることに

なるかもしれません。

第五点が、歴史認識問題です。

講和条約は、近隣アジア諸国への謝罪と償いを排除した、日本の独立回復を

達成させました。講和条約戦争犯罪は含まれず、戦前の政治家・官僚の

公職復帰が進みました。その結果、アジア諸国と日本の「記憶」は

共有されず、各国の「記憶」がプロパガンダになり、

終わりの見えない「歴史戦争」が引き起こされています。

第六点が反核世論とアメリカの「核の傘」が共存している問題。

第七点が、日本の親米路線と脱亜の思想。

第八点が日米関係の非対称性です。

このように改めて見直してみると「サンフランシスコ体制」は、

現代社会が抱えるさまざまな国内問題、国際問題につながる

起因を生みだしたと考えられます。

では、私たちは、今、これまでの日米関係を検証し、

これからの日米関係をどう築いていこうと考えるか。

そこを考えなければ、現在起こっている様々な議論に答えを

見つけることはできない、というご指摘で平田先生によるご講義は

終了しました。

 

3、未来を見据えて

 21世紀の現代は、これまで「当り前」とされてきたことが

「当り前」ではなくなった時代です。

私たちは、各自が複眼的な視点を持ち、他者との対話を繰り返して、

互いに受け入れられる妥協点を探していく、そうした困難で時間のかかる

気の遠くなるような営みを繰り返して、社会を形成していかなくては

ならない時代に生きています。

そこで第二部では、参加者による意見交流を試みました。

同じことを学んでも、自分とは異なる考え方をする人がいる。

その事実を受けとめて初めて、対話が始まってくるのではないかと

考えました。そのための意見交流です。

今般の学習会では、様々な経験を重ねた参加者が集い、

それぞれの視点からいろいろな意見を出していただきました。

第一部の講義ともに各自がそれぞれに考える種を得ることができたのではと

考えています。

 

まだまだ、運営側の経験、技術ともに拙く、参加者のみなさんの意見が

充分に引き出せたか、と言われれば、大変申し訳なく感じています。

しかし、今後も、多様な人々が多様な意見を自由闊達に交流し合える場を

企画・運営していきたいと考えています。

より多くのみなさんが「複眼的に」考え合う場となるように。

4月学習会場所と2015年度会計報告です。

4月の第5回学習会が迫ってきました。

今回は、アメリカとの関係から安保を考えます!

 

日にち:2016年4月16日(土)

 

時間:13:30~15:30

 

講師:平田雅己先生(名古屋市立大学)

   ご専門‣アメリカ政治外交史

 

テーマ:「日米関係史から安保体制を考える」

 

会場:名古屋市立大学滝子キャンパス1号館202号室

   *事前の告知やチラシでは409となっていましたが

    202に変更となりました!

 

名古屋市立大学滝子キャンパスへ☆

地下鉄桜山駅から徒歩7分です。意外と便利です。

駅とキャンパスの間には「一度は飲まなきゃ!」という

美味しいコーヒー専門店の吉岡コーヒーもあります。 

[http://:title]

 

 

 

参加費:100円(資料コピー代)

 

申込み:学内外を問わずどなたでもご参加いただけます。

    参加ご希望の方はメールにてご予約ください。

    tmsncu@gmail.com まで。

    今までの学習会出席者は

   (若い)学生2割+(そう若くない)学生3割+一般5割 

    といった感じです。どうぞ、お気軽にお越しください。

 

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2015年8月にこのtmsncu(複眼的に安保法制を考える名市大院生有志の会)を

立ちあげ活動を行ってきました。

学習会には、ご参加いただいた方から参加費を頂戴し

会の運営を行っています。

年度が変わることから3月末日時点での収支を

以下にご報告します。

 

【収入】

 

【支出】

 

 

【2016年度へ繰り越し】

 

繰り越し金は、2016年度の活動に使わせて

いたただきます。

 

「い・ま・こ・そ憲法 連続憲法講座2016」第1回の報告

 2016年3月26日 愛知憲法会議他主催の連続憲法講座2016があり、参加してきました。

参加者は50人弱だったでしょうか。

大人に交じって若者がチラホラの会場でした。

 

第1回は「トークセッション 若者と考える『民主主義』ってなんだ?」というテーマのもと

3人の若者をゲストに迎え、「民主主義」についてのトークセッションでした。

SEALDsTOKAIで活動をしている三重大学院生の東海さん、

名古屋わかもの会議に軸足を置きながらも色々な活動に取り組んでいるという

愛知教育大学1年生の西脇さん、

彼女は高校生の時に政治に対して「何かおかしい」と感じ

夏休みに50冊以上の参考文献を読破し論文を書き上げたという cuteなツワモノ。

もう一人はDemosKratiaで活動をしている名古屋大学院生の村田さん。

それぞれ若さと行動力と頭脳とオシャレさを持ち合わせた魅力的な若者たちでした!

 

講座はまず、コーディネーターの本秀紀先生(名古屋大学)の導入としてのミニ講座から始まりました。

 

 先生は、昨年初夏から盛り上がりを見せた安保法制に対する反対運動を

「新たな民主主義の胎動」であるとされました。

一般的な解釈である「独裁(安倍政権)vs民主主義」だけではなく

「代表民主制万能論vs国民の声を反映した政治」という

民主主義観をめぐる争いでもあると指摘されました。

そして特筆すべきことはこの「国民の声を反映した政治」をリードしたのが

若者であったということだということです。

 

(参考)SEALDsKANSAI 寺田さんの7月15日の街宣演説。

本先生によれば、この演説がエポックメイキングになったのではということです。

そして先生は何度もこれをみて感涙した!とのこと。

 https://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=Gu7zNMKYXts

 

先生はこうして新たに動き出した「民主主義」を更に以下の視点から分析されました。

 

①民意の反映のさせ方、捉え方 

現在の姿である「代表民主制万能論」(極端に言えば、選挙で選ばれているんだから

自分たち(議員)は何でも決めることができるという考え方)に対抗する

(SEALDsに代表されるような)「路上の民主主義」

 

②路上の民主主義の位置づけ 

カウンターデモクラシーとしての「路上の民主主義」なのか、

或いは全員参加の民主主義と捉えるか。

*カウンターデモクラシー(counter-democracy)とは

「デモや国民投票など、選挙以外の様々な方法によって、政府を監視・牽制し、民意を反映させようとすること。代表民主制を補完するものとして、2006年にフランスの歴史学者ピエール=ロザンバロンが示した概念。」

http://dictionary.goo.ne.jp/jn/ goo国語辞書より)

 

従来の民主主義が変化してきたのではない、新しい民主主義が生まれたのだと、ミニ講座は纏められました。

 

30分ほどの本先生の講義の後、

若者3人が自己紹介を兼ねて今取り組んでいる活動について語ってくれました。

その後、会場から出された質問に答える形でのトークセッションとなりました。

出された質問は、

若者から見て今の「おとな」たちはどう映るのか、から始まり

若者の政治参加を増やすためにどんな方策があると考えるか、

また新しい民主主義を牽引している若者が社会に出た時、会社の中ではどうなると思うか、

などバラエティに富んだものでした。

やや抽象的で分かりにくい質問にも、3人は真摯な態度と自らの言葉で

考えを語っていたのが印象に残りました。

 

≪トークセッションのキーワード≫

対話

対立の重要性

SNS

民主主義のインフラ

自発的

強制された中立性

小選挙区

選挙独裁

憲法13条

掛け布団から敷布団へ

 

2016年度の愛知憲法会議の憲法講座はこの第1回を皮切りに、

2回は「日本に求められる外交力」、

3回は、「元自衛官が語る戦争のり合うと憲法9条の輝き」、

4回は「学問は戦争の武器ではない」、

5回は「貧困の連鎖を断ち切るために」、

6回は「どうなる憲法、どうする憲法」というテーマで行われるとのことです。

魅力的なテーマと講師陣、時間があればまた足を運ぼうと思います。

*愛知憲法会議 

https://www.facebook.com/aichikenpoukaigi/

卒業の朝に

2015年の夏の日、私たちはこのtmsncuを立ち上げました。

 

安保関連法案審議をめぐる国会の混乱と

立ち上がる「個人」たち

 

何が起きているのか

どんなことが起きようとしているのか

 

自分の考えを自分の言葉で表現する力が研究であると

知りつつあった「卵」の私たちは、傍観者として立ちすくんでいる

 

まず自分のこととして捉え、咀嚼し、

考え、腑に落ちたコトバで語らなければならない

 

一方向から物事をみつめるのではなく、

また自分の中だけで完結するのではなく、

議論し、何かしらの合意形成を得、

その考えの軌跡を世に問うていく

 

それが大学院生として夏を過ごしていた我々に

課せられていることなのではないかと

仲間たちと話し合い

tmsncuを立ち上げたのです。

 

 

幸いにも、私たちが所属する名古屋市立大学人間文化研究科は

学際的であり、仲間たちの研究の依って立つ分野は多岐にわたっています。

 

社会学

政治学

歴史学

教育学

言語学

心理学

民俗学

 

それが故に仲間たちの、着目する視点も、

現状を分析する手法も大きく異なり

しぜん複眼的視点がキーワードとなりました

 

夏以降、いくつかの分野の第一人者を招き、

学び、語り合ってきました。

 

政治家の討論会出掛け彼らの語り口に耳を傾けたり

ドキュメンタリー映画を見に行ったり

デモに身を投じてみたりと

体と心と頭で今を体感したりもしました。

 

何が起きているのか、

どんなことが起きようとしているのか

 

季節は変わりましたが

私たちはまだ自分たちのコトバで

それを語り

話し合い

そこから何かを生み出すまでには至っていません

 

そして今日、卒業の日を迎えました。

 

この会を運営してきたスタッフは

就職や復職、進学とそれぞれの道を歩き出します

 

それでも

私たちは自分たちの頭で考え

自分のコトバで語りあうことを諦めません

 

卒業の日に

 

分野や年齢を超えて

気軽に時に真剣に

或いは笑いながら

会を続けてこられたのは

学習会に参加してくださった方

会を支えてくださった方々のおかげです。

 

そして

自由で大らかな校風の大学の中であったからこそだと感じています。

 

ありがとうございました

 

感謝

これからもこの会を続けていくという小さな決意

咲きそめの桜

 

修了証書をもらいにいってきます。

      (2015年3月25日)

 

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≪これからの学習会≫

 

◎第5回学習会

2016年4月16日(土)

13時30分〜15時30分

「日米関係史から安保体制を考える」

平田雅己先生(名古屋市立大学)

参加費:100円

 

◎第6回学習会

2016年6月5日(月)

10時〜12時

「安全保障問題と有権者意識」

森正先生(愛知学院大学

参加費:500円

 

お申し込みは、メールでお願いします。

tmsncu@gmail.com

 

場所はいずれも名古屋市立大学滝子キャンパス1号館です。

学内外問わずどなたでもご参加頂けます。

お気軽にお越しください。

映画「大地を受け継ぐ」を見て

1、映画に行ってきました ~第二弾~

今日(3月3日)は、名駅シネマスコーレに『大地を受け継ぐ』を観に行ってきました。本作品の監督は、なんと名古屋出身の井上淳一監督です。

福島から離れた場所で生活する者が、福島で生き続ける人を思うことの大切さ。

「痛み」を抱える他者の思いを受け継ぐために監督は、

2015年5月、11人の若者と福島に向かいました。

86分の本作のほとんどは、福島県専業農家を営む

樽川和也さんの語りの記録です。

樽川さんのお父さんは、2011年3月24日、自ら命を絶ちました。

 

2、原発から65kmの真実

樽川さんが住んでいるのは、福島県須賀川市。そこは、福島第一原子力発電所から

65km離れた場所です。

65km、それは、名古屋からだと中津川、郡上、豊橋にまで及ぶ距離です。

とても近いとはいえません。でも、放射能はその距離をなんなく飛んできたのです。

 樽川さんの田畑は放射能によって汚染されました。

放射能のすべてが、5年で半減するはずはなく

(例えばセシウム137の半減期は30年です)、除染された今も、

やはり田畑には放射性物質が含まれているそうです。

参加者の一人が樽川さんに質問しました。

「母は、今も福島県産の野菜は買わないのだが…」と。

すると樽川さんは、自分も食べないと言われました。

安全でおいしい食べ物を作ることに誇りを持って生きてきた人々に

そう言わしめる、それが今の日本社会なのだと感じました。

 

3、私たちが受け継ぐもの

どうしたらいい?なにができる?

答えが出るとは思いません。

でも、考え続けること、やってみることを、

 忘れたくはないと思いました。

『大地を受け継ぐ』。

樽川さんは、200年、8代に及ぶ祖先から受け継いだ土地を、

汚染されても、なお、耕し、受け継いでいくことを選択されました。

ご近所の方々もみな、絶望しそうになりながらも耕し続けておられるそうです。

私たちは、彼らの話、姿から何を受け継ぎ、何を伝えていくのでしょうか。

そして、私たち自身は、原発事故から、何を受け継ぎ、伝えていくのでしょうか。

私も未来を創る一人です。

だから、未来のために、次の時代を生きる子どもたちのために、

「今」を選択し繋いでいかなくてはいけないと感じました。

 

映画「大地を受け継ぐ」HP↓

daichiwo.wordpress.com

 

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TMSNCUの学習会のお知らせ

◎第5回学習会「日米関係史から安保体制を考える」

日時 2016年4月16日(土)13:30~15:30

講師 平田雅己先生(名古屋市立大学准教授)

場所 名古屋市立大学滝子キャンパス1号館

参加費 100円

 

◎第6回学習会「安全保障問題と有識者意識」

日時 2016円6月5日(日)10時~12時

講師 森正先生(愛知学院大学教授)

場所 名古屋市立大学滝子キャンパス1号館

参加費 500円

 

どなたでも学習会にご参加いただけます。

参加ご希望の方は、メールにて「参加するよっ」とご連絡ください。

↓ ↓ ↓

tmsncu@gmail.com

みなさまのご参加をお待ちしています。

 

映画「日本と原発 4年後」を見て

映画を見てきたので、そのご報告です。

 

1、映画に行きました

 昨日(3月2日)、今池シネマテークで、映画「日本と原発 4年後」を観てきました。この映画は、20年にわたって原発差し止め訴訟を行ってきている弁護士の河合博之氏が、自ら監督となって製作したドキュメンタリー映画です。

作品は、2015年のある日、同日同時刻の東京新宿と福島県常磐自動車道

放射線量の比較から始まります。多くの乗用車が走るそこは、1時間3μ㏜。

新宿の100倍の放射線量です。

2011.3.11から2015年までに降った放射線量(セイシウム137)は、

原爆で広島に降った放射線量のすでに168倍になっているといいます。

そして、放射線は、今なお福島第一原発から降り続けている…。

 

 

2、3月11日、福島第一原子力発電所で起きたこと

 作品では、原発の仕組みについて、明快な説明がなされました。

メルトダウン」がどういうことで、原子炉建屋が爆発したことが

どういうことか。

5年前の3月11日が、日本に住むすべての人にとって、

どれほど危険な日であったのか…。

あの日、あの時、福島第一原発で、原子炉の爆発は起きても

おかしくなかったのです。

そして、もし、原子炉が爆発していたら…原発から半径250km、

盛岡から横浜まで、人間の住むことのできない土地になっていたと言います。

事態はまったく改善されていません。

なぜ、原子炉の爆発が起きなかったのか、今も、誰も分かっていないそうです。

なぜなら、事故の検証ができないからです。

誰も原発に近づくことができないからです。

毎日、400tの地下水が、原発を通り抜け、放射能汚染水となって

海に流れていっています。

これが安倍首相の言う「アンダーコントロール」です。

 

 3、地震大国日本の原発開発政策を考える

 日本の原発推進政策は、1960年「原子力の平和利用」という言葉で

始まりました。

それは、原爆のエネルギーを電気に替えるということです。

原子力の怖さを知っている「唯一の被爆国」日本が、

世界有数の原発保有国(54基)となっています。

地震大国で原発開発を行っているのは日本だけです。

原発推進国のフランスでは、地震は起きません。

日本国民は、原発の「安全神話」を信じ過ぎているのです。

実は、東電は2008年の時点で、貞観地震(8世紀)と同程度の地震

起きた時の津波を計算し、「15m」と予測していたそうです。

防潮堤の必要性や全電源喪失のシュミレーションもされていたといいます。

しかし、かかる経費を問題として、それはなかったものとして扱われました。

そうして起きた、福島第一原発事故

それは、「未曾有の天災」だったと言えるのでしょうか。

河合氏らは、あの原発事故は、東電による史上最悪の「公害」だといい、

安全確保義務を怠った東電責任者の刑事責任を問い続けています。

 

4、 原発とテロ

東野圭吾原作の映画『天空の蜂』が昨年公開されました。

原子力発電所に、ヘリコプターを墜落させるというテロ事件をめぐった話です。

原作が書かれたのは、2011年よりも前でしたが、

原発推進のために全国の原発は決して止めないと主張する政府の意見など、

とてもリアルな内容が含まれています。

この話の題材となっている、原発を狙ったテロについて、

例えばアメリカは、120人に及ぶ特殊部隊を各原発に配備し、

警戒しているそうです。

日本の原発は、5人グループ二つで、簡単に占拠されてしまうだろうと、

映画では説明されていました。

また原発テロでもっとも恐れられているのは、サイバーテロだそうです。

原発は、人間の力では制御できないからです。

電源がなくなったら、コンピューターが正常に動かなくなったら…

原発は簡単に暴走するのです。

 

5、原発再稼働の恐怖

原発の再稼働が、進んでいきます。

安倍首相は「世界最高レベルの安全基準」と言いますが、

原子力規制委員会は、「安全基準」だとは決して言いません。

原発は、安全ではないからです。

安全ではないけれど、原発の開発には「原子力ムラ」と呼ばれる、

利益団体、政治家、官僚など、日本の経済界と政治の世界の6割の人々が

関係しているので、止められないそうです。

「福島」は、一度で終わるのか?

「福島」でさえ、終わるときが見えない中、第二、第三の「福島」が、起きたら…。

御前崎にある中部電力浜岡原子力発電所では現在、高さ22mに及ぶ防潮堤で

発電所を囲む工事が進んでいます。

しかし、南海トラフ地震津波予測は、42mです。

東日本大震災福島第一原発を襲った津波の高さは、

シュミレーション通りの15m。予測は当たったのです。

もし、南海トラフの予測が当たったら…22mの防潮堤は、

原発を破壊する巨大な漂流物になるのかもしれません。

 

 原発事故は、5年たった今も、まったく収束していません。

収束に向かってもいません。

もし、また地震が来たら。

もし、事故が起きたら。

もし、原発テロが起きたら。

もし、もし、もし…。

この5年間、日本の大地は、毎日、放射能に汚染され続けています。

 

「日本と原発4年後」公式HP→http://www.nihontogenpatsu.com

「日本と原発4年後」Facebookhttps://www.facebook.com/nihontogenpatsu/

 

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TMSNCUの学習会のお知らせ

◎第5回学習会「日米関係史から安保体制を考える」

日時 2016年4月16日(土)13:30~15:30

講師 平田雅己先生(名古屋市立大学准教授)

場所 名古屋市立大学滝子キャンパス1号館

参加費 100円

 

◎第6回学習会「安全保障問題と有識者意識」

日時 2016円6月5日(日)10時~12時

講師 森正先生(愛知学院大学教授)

場所 名古屋市立大学滝子キャンパス1号館

参加費 500円

 

どなたでも学習会にご参加いただけます。

学生が1/3程度、2/3が一般社会人という構成が多かったです。

参加ご希望の方は、メールにてご連絡ください。

tmsncu@gmail.com

みなさまのご参加をお待ちしています。